冬枯れしそうなサボテン


1年前のサボテンの写真。このころはまだ元気だったが、
今年の夏に外にだしたまま秋まで放置してしまった。
いまは一部を枯らしつつ痩せ細りながらもかろうじて濃い緑色の筋を残している。
一部が枯れた理由は寒さのためである。水不足のためではない。
まだ写真は撮っていない。
実は本当にまだ生きているのか分からない。もともと分かりにくい品種だった。
とは言いつつもこれで育て始めてから5年になる。
5年もよくわからないまま生きている。
5年もよくわからないで育てている。
幼い頃は良くサボテンを枯らしてしまった。目をかけすぎて、水を遣り過ぎて根腐れさせる事が多々あった。

付き合う相手のことを良くわからないままで、所有欲を満たさないままに
その相手と交流を持つということは無関心であることとは違って、
わからない(見えない)部分をそのまま受け止めつつなんとなく察することができるという
余裕の所産であろう。
わからない部分がわかるということは自分の活動範囲や自分の理解の範疇がわかっているということでもある。
植物が好きな人の中には所有欲の強い人や他者へ無償の愛情を振りまく人がいるが、
彼らが植物を育てるのがうまいかというと、そうでもない。
自分の欲望や考えに固執して自分とは関係ない部分まで扱おうとしたり、
そこにちょっかい出そうとすると、大抵の物事は破綻する。
一方的に愛でられるとうざいのである。

何でもそういうものかもしれないが、植物の育て方でその人が見えると思っている。

色々やっていました

前回のブログ更新は個展の前でした。
ご無沙汰しております。
この更新にあわせて私のウェブサイトのプロフィールページと作品ページも更新しました。
それと、このブログの過去の記事も一部読みやすくしたので興味があればご覧下さい。
http://wataruyamamoto.jp/
※このウェブサイトは友人の伊勢くんに作ってもらっています。ありがとう。


無事にギャラリーでの個展を終えて、
その後は台湾でのアートフェアに参加したり、
TOKYO2020というパリと東京でのグループ展に参加したり、
出版物としては美術手帖で清水穣さんにレビューを書いていただいたり、
IMA vol.6に「欲望の形」を都築響一さんの解説付きで特集に載せていただいたり、
その他にもたくさんのことがあって良い出会いや経験が増えたことを嬉しく思います。

「欲望の形」から私のことを知ったという方と、
「線を引く」から知ったという方がいます。
プラタナスの観察」から知ったという方も少数いると思います。
一見すると印象の異なる作品を作っているように思われるかもしれませんが、
私の作品は"自然を記録する"という一つの大きなテーマに基づいています。
これについてはウェブサイトのステートメントに書きました。
そして被写体の表面ではなく"内部"を覗き込むような写真が撮りたいという欲望を私は常に持っています。
制作期間を申せば、
イデアや制作準備としては「欲望の形」のほうが早く取りかかっていたのですが、
発表したのは「線を引く」が先です。
私はこの他にも同時にいくつかの制作を進めていますが、
自然という概念の多様さや深さ、
私の幼い頃からの自然への関心、
そして記録することの難しさが制作の糧になっています。
イデアが生まれる時からプリントまでずっと、
作ることを楽しんで制作できています。

来年の個展が一つ決まっているので、
それにむけて新作を作ろうと思います。
今後とも宜しくお願いいたします。

もうすぐ始まる展示のご連絡です

私の個展「プラタナスの観察」が新宿のYCAで7月26日(金)から始まります。
※詳しい展示会場の詳細はこの記事の最後に記載してあります。

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展示内容はプラタナススズカケノキ)という植物の葉を私的に観察したノートです。
プラタナスという木は私にとって写真の歴史上重要な植物で、
それは紀元前四世紀の日蝕の日に、アリストテレスがこの木(および広葉樹)の木陰に葉の隙間から投影された日蝕の太陽の像を発見した記録に由来します。

この「プラタナスの観察」という作品は主に「光の葉」シリーズと同じキルリアン写真の技法を用いて制作しています。
過去作は実験的なものが多く物語を受け入れずに制作してきましたが、
今作はプラタナスという植物のもつ逸話にキルリアン写真やドローイング、
フォトグラム、押し葉など複数の手法を織り交ぜて挑み、被写体とその物語とを一緒に見て記録する試みです。



Yumiko Chiba Associates The Summer Show
山本 渉「プラタナスの観察」
キュレーション:ダン・アビー(写真研究)

■会期
2013年7月26日(金)— 8月10日(土)
12:00-19:00(休:日、月、祝日)

■オープニングレセプション
2013年7月27日(土) 18:00 – 20:00

http://www.ycassociates.co.jp/jp/information/wataru_yamamoto_soloexhibition/

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7月末からYCAで個展があります(新宿)

みなさま、暑中見舞い申し上げます。
今月末から始まる個展のご案内です。

展示内容につきましては追って詳しくご紹介いたしますが、
とてもすてきな作品を展示できそうです。
オープニングレセプションの27日にみなさんにお会いできることを楽しみにしております。

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Yumiko Chiba Associates The Summer Show
山本 渉「プラタナスの観察」
キュレーション:ダン・アビー(写真研究)

■会期
2013年7月26日(金)― 8月10日(土)
12:00-19:00(休:日、月、祝日)

■オープニングレセプション
2013年7月27日(土) 18:00 – 20:00

http://www.ycassociates.co.jp/jp/information/wataru_yamamoto_soloexhibition/

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差し入れのお菓子やお祝いのお花などは、
たいへんありがたく嬉しいのですが、
ご遠慮くださいますようよろしくお願い申し上げます。

6月にphotographers' galleryで個展があります

6月に「線を引く」の個展があります。
バライタ紙の豊かな質感のプリントをご覧になる貴重な機会と思いますので、
ぜひご高覧ください。
http://pg-web.net/exhibition/wataru-yamamoto-senwohiku/

また6月8日(土)にはトークショーおよびレセプションパーティーがございます。
トークショーへの参加をご希望の方は以下の予約フォームにてご予約ください。(参加費500円)
https://ssl.form-mailer.jp/fms/f8a6c023172835

レセプションや入場料金は無料となっておりますので、お気軽にお越し下さいますようよろしくお願い申し上げます。

古墳近くに生える木

栃木県のなじみ深い木の一つがこのコブシの巨木。
中学時代に偶然見つけて以来、記憶に印象強く残っている。
初めて見たときは春先で満開のコブシの白い花をつけて枝を広げていた。
その枝の伸びっぷりが見事で、枝先は360度地面に付きそうなほどだった。
霊樹である。
民家と雑木林に囲まれていたために当時は知る人ぞ知る巨木としてあったが、
先日散歩で訪れると木の周りが舗装された公園になっており、多少は目立つようになっていた。
驚いたのは雑木林であった場所が実は古墳だったらしく、
土がこんもりした古墳らしきものがコブシの公園の舗装路の真ん中に鎮座しているということだった。
異常な場所である。
古墳があるくらいだからコブシの巨樹は樹齢が半端ないのではないかと想像したが、
(巨樹好きとしてはかなり残念な感じなのだが)たかが100年〜150年くらいらしい。
まぁそれだけに人間の寿命と成長度合いと比べると驚くべきことなのであるけれど、
100年前なんて古墳の歴史に比べたらつい最近の事である。
古墳という遺跡がある場所に立派な巨樹が生えているという事は歴史的にあまり関連性がなさそうだった。
古墳がある事とは関係なく何となく植えられて何となくでかくなってしまったのだろう。
古墳があるから木が切られずに守られたという想像もできるが、
その場所に行ってみると、なんとなくそういう感じがするのである。

公園が整備された事で、残念ながらコブシのあの立派な枝先は伐られてしまっていた。
だいたいどこの巨樹もそうであるが、広く知られるようになると安全のために枝が切られてしまう。
しかし公園が整備された事でこれからも木は守られていく。
その公園ではコブシの木と古墳が同等の価値を有しているように思えた。
というか古墳の方は雑草が生え放題で結構雑な扱いだった。
歴史的価値のある古墳よりも巨樹を愛でる気持ちが前に出てしまっている。
いつかコブシの巨樹の近くにあるおかげで古墳が守られるという日が来るのかもしれない。

「線を引く」についての記事

写真ライターのDANさんが「線を引く」について記事を書いてくださいました(英語)。

http://www.americanphotomag.com/photo-gallery/2013/02/wheres-wataru

「線を引く」は写真集になって限定500部で販売開始しております。
日本のお店では今のところ代々木八幡の"SO BOOKS"で販売しております。(通販可能)
http://www.book-oga.com/wimages/drawing_line.html
ネットでは"PH"でも販売されています。
http://www.thephts.com/wataru-yamamoto/drawing-line
今後販売店は増えていく予定です。

うれしいことに展示の話もいくつかいただいております。
やはりプリントをみてもらうことが嬉しいので、それについてはまた書きます。


DANさんは2013年4月6日に以下のイベントのトークショーにでるようです。
http://www.photo-fair-einstein.com

それではまた